サインバスケとは
聴覚障がい者(デフ/deaf)の中には、日本語で生活している人もいれば、手話言語で生活している人もいます。育ちも環境も言語も全く違う多種多様な人たちが一緒にバスケを楽しむためには何が必要なのでしょうか。
NPO法人日本デフバスケットボール協会では「デフバスケとは耳が聞こえにくい人がプレイするバスケットボール競技である」と定義しているため、競技ルールはバスケットボール競技からそのまま持ってくることになりますが、その中にデフのためのルールはありません(特に情報保障)。
そこで私たちビバリードは、日本語でも手話言語でもなく、バスケ競技に特化した視覚言語である『サインバスケットボール』をつくれば、デフと聴者を含む多種多様な人々が対話を深めることが出来るようになり、同等な立場でバスケを競うことができると考えています。
ここで重要なのは、サインバスケはなんでもいいというわけではなく、「手話」という視覚言語で生きてきた身体性を持ってきて初めて、バスケットボール競技に適合した、極めて利便性の高い視覚言語を生み出すことができるということです。(※手話言語にある文法/語彙/音韻をうまく取り入れたい)
- どのように視覚的訴求をすれば、素早い意思疎通ができるか
- かつ、試合本番でも短い時間で深い対話ができるか
- 物理的な制限(距離が離れている、騒音で音が消される、水の中で声が通らない)があっても対話ができる
(なんで水の中?というツッコミはおいといて…でも水の中で対話できるのは便利でしょう!w)
バスケットボール競技の全ての情報(コート内外)を迅速に共有できる視覚言語として【サインバスケットボール】が確立されれば、聴者も含む多種多様な人々が「これは便利だ!」と使ってもらえるようになると信じています。
上の動画と合わせてごらんください。
サインバスケ探求会(非定期開催ですが、常に追い求めています)
JDBA(NPO法人日本デフバスケットボール協会)をはじめ、たくさんの人たちと一緒にサインバスケットボールの探求をしており、第1回「サインバスケ探求会」を福島県で開催しました。
サインバスケのロールモデルチーム
ビバリードは今まで1on1スキルをメインにしたバスケットボールスクールとして活動してきましたが、2022年4月からサインバスケのロールモデルとして「OneTEAM!B-BALLY'd」というチームをつくり、聞こえる人たちと聞こえにくい人たち、言語も環境も全く違う人たちが一緒にバスケをしたり団体行動をとったりして、お互いに切磋琢磨しながら上を目指していきます。
このチームでサインバスケを体現しつつ多種多様な人々が同等な立場でお互いに切磋琢磨できる環境を作り、そこで得られた経験やノウハウをすべてデフバスケ(JDBA)に持っていくことで、部活動やクラブチームなどでおいてけぼりにされがちなデフ選手の助けになれればと思っています(社会貢献の一環/SGDs)。
まだまだ歴史は浅いチームですが、バスケにかける想いや情熱は誰にも負けないつもりですので、交流試合や遠征などに呼んで頂けると幸いです!どうぞよろしくお願い申し上げます!
SDGsの取り組み
手話には、独特な文法/音韻/語彙があると認められ、日本語とは全く違う言語として法律で保護されています。
日本社会は当然、日本語で生活する人がほとんどです。それに対して手話で生活している人はやはり「おいてきぼり」にされやすい状況にあると思います。これはバスケや他のスポーツでも同じです。
たとえ日本語を使った、もしくは日本語が使えたとしても聞こえないという事実は変わらないから、結局は「おいてけぼり」は完全にはなくならないと思われるので、「サインバスケットボールでよりよい社会づくりに貢献したい」と考えています。
書籍紹介
耳の聞こえないメジャーリーガー ウィリアム・ホイ(NF・原作アメリカ)
ナンシー・チャーニン 文/ジェズ・ツヤ 絵/斉藤洋 訳
聴覚障害がありながらも、アメリカ大リーグで活躍した実在人物を描いた絵本です。ウィリアムはオハイオ州立ろう学校を卒業し、靴修理店で働いていたが、野球の才能を認められ、野球選手になります。彼が活躍した19世紀末~20世紀初頭は、障害に対する理解も低く、手話も普及していませんでした。彼はそのハンデも前向きに捉えて、審判のジェスチャーや、作戦を伝えるサインを考案し、試合のやり方に影響を与えてきました。センターの名手としても大リーグで活躍し、多くの人に夢と勇気を与えました。