『見溜め』を考える

少し前のU12女子交流戦で、
小2の聴覚障がい者(デフ)の子が
見せてくれた成長を
振り返ってみたいと思います。

味方が自分のスペースに
ドライブインしてきた瞬間、

スペースを広げるように動き
(スペーシング)、

パスをもらった瞬間にリングを見て
(シュートフェイク)、

カットインしてディフェンスを
抜きました(カットイン)。

今まで10年近く小学生や中学生に
コーチングしてきましたが、
小2でここまで自然な流れを
作れる子はいませんでした。

たまたまかもしれません。
偶然かもしれません。

簡単な動きやん、と
思われるかもしれません。

なんやフツーやん、と
思われるかもしれません。

ただ、まだ2年生で、
ファンダメンタルしか教えてないのです。

スペーシングも
チームで数回しか練習してないし、
ただ言われるがままに動いてるだけで
深い理解もしてない(…はず)。

まず、上記を考えていたことが、
指導者として失格だと私は思いました。

その子の可能性を頭から否定していた、
と猛省しています。

どんな子も可能性はある。
1年生でも6年生でも中高生でも。

その可能性を信じて指導するのが
私の目指すコーチングではなかったのか。

どんなに簡単な動きでも、
「そう、それがバスケだよね!」と
当たり前の動きができるようになる、
理解してもらうことが、
ものすごく大切ではなかったのか。

…熱くなってしまいました。

本題に戻りまして、

聴覚障がい者(デフ)は、
耳が聞こえない・聞こえにくい分、
音声など耳から入ってくる類の
情報・データを得るのが
聴者と比べて
断然遅い【情報障がい】でもあると
言われています。

その分、「目で情報を追う」というのが
日常生活でも必須となり、
自然に長けてくるのではないか、と
私は考えています。

これは聴者でも意識さえすれば
同じことが言えますが、
普段の生活では耳を使うので、
必要に迫られることが少ないため
結局は意識の差になるんだろうなと
漠然に思っています。

この子は、
チームのお姉さんたちのプレイを
何回も何回も見て、
振り返りのビデオも見て、
手話での説明を見て、
「この動きをするのがバスケなんだ」と、
自然に経験値を溜めていたのかな、
と思っています。

ちなみに、その子に
「これ教えてもらった?」って聞いたら
『教えてもらってない〜』と。

「どうやって覚えたん?先輩を見て?」と聞いたら
『わからん〜やろうと思ってこうなった』
だそうですw

教えられてもないのに、
「やろうと思った」
これって、すごく大切だと思いませんか?
(まぁ、まだ小さいので
 怖いもの知らずというのもあるかもですが)

ビバリードでは、
これを『見溜め』と
定義したいと思います。

自発的に行動を起こす(試す)。

私自身もデフで、
一度見ただけで動きを理解する、
というような感覚は身をもって
体験したことがあります。

ただ、勘違いしてほしくないのは、
「デフだから」ということではありません。

聴者の皆さんも同じような感覚を
持っている方もおられると思います。

そういう環境に置かれて育ってきたのか、
コーチ、先輩、親などの
身近な人に教えてもらったのか、
要因は様々だと思います。

要するに、
意識するきっかけさえあれば、
誰でも【見溜め】は
身につくと思います。

効果を実際に目にしたので、
どんなに小さく些細な事でも見逃さず、
しっかりと定義を作って、
ビバリードの子たちに
しっかり伝えていこうと思います。

【追記】
ふと思ったことなのですが、
『聞溜め』ってあるのかもしれません。

イヤホンをして、
寝ながら英語のリスニングをすることで
記憶が向上するという話も
聞いたことありますし、
感覚的に、
その類に近いのかもしれませんね^^



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